不動産問題と相続
不動産の整理や活用を検討するにあたり、不動産の所有者が逝去した場合には相続に関する問題が発生します。
不動産の所有者が生前に処分したり、遺言書で不動産の分割方法を指定したりしていればよいのですが、何ら対策を講じていない場合には遺産分割によて不動産を分割する必要があります。
しかしながら、一般に不動産は高額である上、相続人間でも実家である場合には感情的な思い入れがあり容易には分割方法が決まらないことも少なくありません。
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不動産の相続に関するチェックポイント
本稿では、不動産の相続を検討する場合のチェックポイントを解説します。
不動産の現状の調査
まず、相続対象となる不動産の現状を調査する必要があります。
不動産の調査にあたっては、不動産登記簿謄本の最新版を取得する必要があります。
不動産登記簿謄本の最新版を取得することで、持分の一部が移転していたり、担保物権が設定されていたりするなど、相続人が想定していた状態とは異なっていることが判明する場合もあります。
また、不動産登記簿謄本を確認するだけでなく、実際に対象不動産の現況を確認することで、土地上に未登記の建物が存在したり、第三者によって不法占有されたりしていることが判明する場合もあります。
不動産の評価額の検討
不動産の現状を調査した後に、不動産の評価額を検討する必要があります。
不動産の評価額によって、不動産の取得を希望するのかどうか、また不動産の分割方法としてどのような提案をすべきかという方針が左右されることもあり得ます。
不動産の評価にあたっては、固定資産評価額によるのか、路線価によるのか、相続税申告時の評価額によるのか等、様々な評価方法が考えられます。
いずれの評価方法によるべきかは、後述する不動産の分割方法と合わせて検討する必要があります。
不動産の分割方法の検討
不動産の評価方法の検討とともに、不動産の取得を希望するかどうか等、分割方法を検討することになります。
不動産の分割にあたっての交渉
不動産の分割方法が決まった後に、他の相続人との間で不動産の分割方法について交渉することになります。
交渉は相手方と合意に至ることができなければ解決できないため、不動産の分割方法の交渉にあたっては、合意できるだけの分割案を提示する必要があります。
不動産の分割方法の合意
不動産の分割方法が決まった後は、合意内容を明確にするとともに証拠化するため、遺産分割協議書を作成する必要があります。
遺産分割協議書の内容を踏まえて不動産の登記名義の変更等も実行することになるため、記載内容に齟齬がないよう専門家のチェックを受けることを推奨します。