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害虫・害獣が発見された場合に契約不適合責任は追及できる?

はじめに

不動産売買において、物件内にシロアリや害虫、害獣が発見された場合、購入者は「契約不適合責任」を主張することが考えられます。契約不適合責任を追及することで、契約の解除や損害賠償を求めることが可能です。しかし、すべてのケースでこの責任が認められるわけではなく、物件の状況や具体的な事例に応じた判断が求められます。本稿では、シロアリや害虫の存在が契約不適合責任に該当するかについて解説します。

契約不適合責任とは

契約不適合責任は、売買契約の対象物が契約の目的に適合していない場合に売主が負う責任です。具体的には、以下のような請求が買主から売主に対して行われる可能性があります。

瑕疵修補請求

物件に見つかった欠陥や問題を修理し、完全な状態で引き渡すよう売主に要求するものです。たとえば、シロアリ被害が確認された場合、その部分の修理を求めることができます。

代金減額請求

売主が修理を行わない、または修理が不可能な場合、買主は物件の価値が減少した分について、代金の減額を求めることができます。

損害賠償請求

物件の欠陥によって買主が損害を被った場合、売主に対してその損害を賠償するよう求めることができます。

解除

売主が修補を拒否したり、修補が不可能な場合、買主は契約の解除を求めることができます。

シロアリや害虫が契約不適合に該当するか

物件内にシロアリや害虫が発見された場合、その存在が「契約目的に適合しない」と判断されれば、買主は契約不適合責任を追及することができます。ただし、以下のようなケースでは必ずしも買主の主張が認められるわけではありません。

  • 築古の物件の場合: 古い建物であれば、ネズミやゴキブリがいても瑕疵と認められないことがあります。
  • 一時的な害虫の発生: 単なる一時的な害虫の発生は、必ずしも契約不適合とは認められない場合があります。

売主の告知義務

売主には、物件内にシロアリや害虫がいる場合、それを買主に告知する義務があります。この義務を怠ると、売主は債務不履行や不法行為責任を問われる可能性があります。

不動産会社の説明義務

不動産会社は、物件内にシロアリや害虫がいる可能性がある場合、その状況を調査し、必要に応じて買主に説明する義務があります。この義務を怠ると、買主は不動産会社に対して損害賠償を請求できる可能性があります。

弁護士に相談するメリット

害虫・害獣が発見された場合、契約不適合責任を追及するかどうかの判断は非常に専門的です。弁護士に相談することで、具体的なケースに応じた適切なアドバイスを受けることができ、最善の対応を取ることが可能になります。また、交渉や訴訟においても弁護士が代理人としてサポートすることで、買主・売主の双方にとって有利な結果を導くことが期待できます。

まとめ

害虫・害獣が発見された場合の契約不適合責任については、物件の状況や害虫の種類、個体数などによって判断が異なります。過去の裁判例を参考にしつつ、具体的なケースに応じて適切な対応を取ることが重要です。不動産売買に関するトラブルでお困りの方は、ぜひ弁護士法人長瀬総合法律事務所にご相談ください。専門的な知識と経験をもとに、最善の解決策をご提案いたします。

この記事を書いた人

⻑瀬 佑志

⻑瀬 佑志

弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。約150社の企業と顧問契約を締結し、労務管理、債権管理、情報管理、会社管理等、企業法務案件を扱っている。著書『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)、『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践しているビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)ほか。

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