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借地契約における地代トラブルの解決方法|供託手続のポイント

はじめに

地主から土地を借りる際、契約期間中に地代を適切に支払うことは借地人の重要な義務です。しかし、時間の経過や経済状況の変化により、当初合意していた地代が現状にそぐわなくなることがあります。その結果、地主と借地人との間で地代に関するトラブルが発生することが少なくありません。こうしたトラブルは借地契約を継続する上で重大な障害となり得るため、適切な対処が求められます。

本稿では、地代トラブルにおける供託手続について解説します。また、弁護士に相談することのメリットについても取り上げていますので、借地に関する問題でお悩みの方はぜひ参考にしてください。

供託とは何か|借地契約における供託が必要となるケース

供託の基本概念

供託とは、金銭や物品を供託所に預けることで、法律上の特定の義務を履行したとみなされる手続きです。特に借地契約においては、「弁済供託」という方法が主に利用されます。弁済供託は、借地人が地主に対する地代の支払い義務を果たそうとしたものの、地主が何らかの理由で地代を受け取らない、または受け取ることができない場合に、地代を供託所に預けることで支払い義務を果たしたとみなされる制度です。

この制度は、地代トラブルの際に借地人を保護するための重要な手段です。たとえば、地代の増額を巡る争いで地主が従来の地代を受け取らない場合や、地主が行方不明になったり死亡したりした場合に、供託が有効な解決策となり得ます。

借地契約で供託が必要になる3つのケース

1. 地主が行方不明になった場合

地主が何らかの理由で行方不明になったり、所在が不明になった場合も、供託が必要です。例えば、地主が突然連絡が取れなくなり、地代の支払いができない場合、供託を行うことで借地人は地代の不払いによる債務不履行を避けることができます。このようなケースでは、供託を行うことで、借地契約を継続するための法的措置を講じることが重要です。

2. 地主が死亡し、支払先が不明な場合

借地契約は長期間にわたるため、契約期間中に地主が死亡することも珍しくありません。地主が死亡した場合、その相続人が不明であったり、複数の相続人がいるために地代の支払先が不明となることがあります。このような場合、借地人は誰に地代を支払うべきかが分からなくなり、供託を利用することが求められます。供託を行うことで、借地人は法律上の支払い義務を果たしたとみなされ、契約上のトラブルを回避できます。

3. 地主が地代を受け取らない場合

借地人が地代を支払おうとしたにもかかわらず、地主がその受領を拒否するケースは、供託が必要となる典型的な状況です。例えば、地代の増額を求められたが、借地人がそれに応じられず、地主が従来の地代の受領を拒否した場合などがこれに該当します。こうした場合、借地人は地代を供託所に預けることで、支払い義務を履行したとみなされ、地代不払いによる契約解除のリスクを回避することができます。

借地の地代を供託する手続き

供託の要件

供託を行うためには、法的な要件を満たす必要があります。具体的には、以下の供託原因が存在する場合に、弁済供託が認められます。

1. 受領拒否

借地人が地代を支払おうとしたにもかかわらず、地主がその受領を拒否する場合が該当します。例えば、地主が地代の増額を要求し、従来の地代の受領を拒否するケースがこれにあたります。供託を行うことで、借地人は地代の支払い義務を履行したとみなされ、債務不履行による契約解除のリスクを回避できます。

2. 受領不能

地主が何らかの理由で地代を受け取ることができない場合も供託が認められます。具体的には、地主が行方不明となっている場合や、地主が地代の受領場所に来られない場合などが該当します。こうした場合に供託を行うことで、借地人は地代の支払い義務を果たしたとみなされます。

3. 債権者不確知

地主が死亡した際、その相続人が不明であったり、誰が債権者であるかが不明な場合も供託が認められます。このような場合、供託を行うことで、借地人は法律上の支払い義務を果たしたとみなされ、地代不払いによる契約解除のリスクを回避することができます。

供託手続きの流れ

供託手続きは以下の流れで進められます。

1. 申請書の作成

供託を行うには、まず供託所に設置されている申請書に必要事項を記入します。供託者の住所氏名欄に押印し、申請書を2通作成します。

2. 供託所への提出

作成した申請書と必要書類を供託所に提出します。提出された申請書のうち1通には供託番号が記載され、申請者に交付されます。

3. 供託通知の送付

供託手続きが完了すると、供託官が金銭等の受け入れ手続きを行い、その後、供託物の受け入れ手続きが完了したことを示す通知が債権者に送付されます。これにより、供託が正式に成立します。

地代に関する争いの解決方法

供託を行うことで、地代の不払いによる債務不履行を一時的に回避できますが、根本的な問題解決には至りません。地代に関する争いを本質的に解決するためには、以下の方法が考えられます。

地主との話し合い

まずは、地主と借地権者の間で話し合いを行うことが重要です。地代の金額に関するトラブルが発生した場合、双方の意見を冷静に聞き、納得のいく解決策を見出すことが求められます。話し合いが成立しない場合でも、弁済供託を行うことで地代の支払い義務を果たしたとみなされるため、争いが解決するまでの間は安心して対応できます。

調停の申立て

当事者間の話し合いで解決が見込めない場合、法的手続きとして調停を申立てることができます。調停は、簡易裁判所において、第三者である調停委員が仲介して行われる手続きで、双方の主張を公正に調整することが期待されます。調停は当事者同士の話し合いに比べ、専門的な知識を持つ調停委員が関与するため、より迅速かつ適切な解決が期待できます。

訴訟の提起

調停が不成立に終わった場合、地代の増減額を求める訴訟を提起することが可能です。訴訟では裁判所が最終的な判断を下し、地代の増額や減額が認められることがあります。例えば、地主の増額請求が認められた場合、借地人は増額請求時点に遡って地代の差額を支払う義務を負うことになります。訴訟は最終的な手段ですが、法的に強制力のある解決を得ることができます。

弁護士に相談するメリット

借地契約における地代トラブルは、法的な複雑性を伴うため、専門知識を持つ弁護士に相談することが非常に重要です。以下に、弁護士に相談することによる具体的なメリットを紹介します。

1. 供託が適用できるケースかを的確に判断してもらえる

地代に関する争いがある場合でも、弁済供託が適用できるかどうかは、個々の状況により異なります。供託が認められるためには、法的な要件を満たす必要があり、この判断は専門的な法律知識を要します。弁護士は、あなたのケースにおいて供託が適切かどうかを正確に判断し、最適な行動をアドバイスします。これにより、不必要なリスクを避け、法的に正しい対応をとることが可能になります。

2. 地主との交渉を専門的にサポート

地主との地代に関する交渉は、感情的な要素が絡み、当事者同士での解決が難しいことがあります。弁護士は、法律の専門知識に基づき、冷静かつ理論的に交渉を進めることができます。弁護士が代理人として交渉に臨むことで、地主との間で円満かつ公正な解決が期待できます。また、弁護士は借地人の権利を守りながら、必要に応じて法的措置を講じることも可能です。これにより、あなた自身が交渉の負担から解放され、安心して問題解決に取り組むことができます。

3. 法的手続きの適切な指導とサポート

供託を行う際や、地代の増減額を巡る争いが訴訟に発展した場合、法的手続きを正確に進めることが求められます。弁護士は、供託手続きの具体的な流れや必要書類の準備、または調停や訴訟における戦略立案など、全ての法的手続きをサポートします。弁護士による適切な指導を受けることで、手続きがスムーズに進み、トラブルの早期解決が期待できます。

4. 精神的な負担を軽減

地代トラブルは、借地人にとって大きな精神的ストレスを伴う問題です。弁護士に相談することで、専門家のサポートを受けられるため、精神的な負担が大幅に軽減されます。弁護士があなたの代理として地主との交渉や法的手続きを行うことで、安心感を持って問題に対処できるようになります。

弁護士に相談することで、地代トラブルに対する最適な解決策を見つけることができるでしょう。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、借地契約に関するあらゆるトラブルに対応しており、専門的なアドバイスを提供しています。トラブルに直面した際には、ぜひ一度ご相談ください。

まとめ

借地契約において地代トラブルが発生した場合、適切な対応を取ることが重要です。供託は、地代の不払いによる債務不履行を回避する有効な手段ですが、その適用には法的な要件が厳格に求められます。また、地代トラブルを根本的に解決するためには、地主との話し合いや調停、さらには訴訟が必要となる場合もあります。

弁護士法人長瀬総合法律事務所では、借地に関するトラブルに精通した専門家が、皆様のご相談に対応いたします。トラブル解決に向けて最適なアドバイスとサポートを提供いたしますので、借地に関する問題でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

⻑瀬 佑志

⻑瀬 佑志

弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。約150社の企業と顧問契約を締結し、労務管理、債権管理、情報管理、会社管理等、企業法務案件を扱っている。著書『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)、『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践しているビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)ほか。

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