• 牛久本部029-875-6812
  • 日立支所0294-33-7494
  • 水戸支所029-291-4111
  • 守谷支所0297-38-5277

電話受付時間: 9:00 - 23:00
※月〜土18時以降、日・祝は、ご予約のみ受付facebook

TOP 新着情報 マンション設備に不備があった場合の契約不適合責任等

マンション設備に不備があった場合の契約不適合責任等

はじめに

マンションの購入は多くの人にとって人生で一度の大きな決断です。期待を胸に新しい生活をスタートさせたものの、マンション設備に不備が見つかることは少なくありません。特に、購入後に設備の不備が発覚すると、多大なストレスと費用負担が生じる可能性があります。このような事態に直面した場合、買主はどのような権利を持ち、売主や不動産仲介業者にはどのような責任が生じるのでしょうか。本稿では、マンション設備の不備に関連する契約不適合責任と、不動産仲介業者の説明責任について解説します。

売主の契約不適合責任について

マンションの設備に不具合があった場合、買主は売主に対して「契約不適合責任」を追及できる可能性があります。契約不適合責任とは、売買契約において物件が契約の内容と適合しない場合に、売主が負う責任です。具体的には、以下のような状況で契約不適合責任が発生します。

契約不適合責任の発生条件

  1. 物件が契約内容に適合していない場合
    例えば、パンフレットや契約書で約束された仕様と実際の設備が異なる場合です。このような場合、買主は売主に対して責任を問うことが考えられます。
  2. 設備が通常期待される品質を欠いている場合
    たとえ契約書に明記されていない項目であっても、通常期待される品質や性能が著しく不足している場合には契約不適合責任が発生します。例えば、エアコンや給湯器などの基本的な設備が正常に機能しない場合です。

契約不適合責任が認められた場合の救済措置

契約不適合責任が認められた場合、買主は売主に対して以下の救済措置を求めることができます。

  • 修補請求
    物件の不具合を修理するよう求める権利です。例えば、マンションの設備に欠陥が見つかった場合、売主に対してその修理を要求できます。
  • 代金減額請求
    物件の価値が下がった分、購入代金の一部返還を求める権利です。不具合があるために物件の価値が減少した場合、その差額分を返還してもらうことが可能です。
  • 契約解除
    物件が契約内容に適合しないため、契約を解除する権利です。ただし、契約解除が認められるのは、重大な不具合がある場合に限られます。
  • 損害賠償請求
    不具合により発生した損害について、売主に賠償を求める権利です。例えば、不具合によって追加の修繕費用や引越し費用が発生した場合、その費用を賠償してもらうことができます。

契約不適合責任が発生しないケース

一方で、全ての不具合が契約不適合責任の対象となるわけではありません。例えば、以下のようなケースでは契約不適合責任が発生しないことがあります。

  • 軽微な不備
    マンション設備に軽微な不具合がある場合、それが通常期待される性能を大きく損なうものでない限り、契約不適合責任は発生しない場合があります。例えば、壁紙の小さな傷や、ドアの軽微な調整不良などが該当します。
  • 買主が不具合を知っていた場合
    買主が購入前に不具合を知っていた、または知り得た場合には、契約不適合責任は認められないことがあります。これは、買主が不具合を承知の上で契約したとみなされるためです。
  • 経年劣化
    建物の経年劣化による性能の低下や外観の変化は、通常の摩耗と判断されるため、契約不適合責任の対象外となることが多いです。例えば、築年数が経過したことによる塗装のはがれや、設備の老朽化などが該当します。

不動産仲介業者の調査・説明義務について

不動産仲介業者には、物件購入時における重要な役割があり、その責任も重大です。特に、マンション購入においては、買主が十分な情報をもとに判断できるよう、仲介業者が適切な説明を行うことが求められます。

調査義務

不動産仲介業者には、物件の重要事項について調査する義務があります。これには、マンションの設備や法的な規制についての調査が含まれます。例えば、電気やガス、水道などの基本的なライフラインの整備状況や、設備の動作確認が行われます。

宅建業法第35条1項では、不動産仲介業者は「飲用水、電気およびガスの供給並びに排水のための施設の整備状況」について説明する義務があるとされています。この法律に基づき、仲介業者はマンションの設備に関する重要事項について調査し、その結果を買主に説明しなければなりません。適切な調査を行い、買主に誤解を与えないよう、正確な情報提供が求められます。

説明義務

調査の結果、マンションの設備に不具合が見つかった場合、または法的に問題がある場合には、不動産仲介業者はそれを買主に対して説明する義務があります。特に、買主がその不具合を知っていれば契約を避けたであろう重要な情報については、詳細かつ正確な説明が求められます。

不動産仲介業者がこれらの義務を怠った場合、買主に対する説明責任を問われることがあります。説明不足や不適切な情報提供が原因で買主が損害を被った場合、不動産仲介業者は損害賠償を請求される可能性があります。

説明義務違反が発生した場合の対応

不動産仲介業者が説明義務を果たさず、買主に損害を与えた場合、買主は損害賠償請求を行うことができます。また、場合によっては契約の解除を求めることも可能です。このようなトラブルを避けるためにも、不動産仲介業者には事前に十分な調査と説明が求められます。

弁護士に相談するメリット

マンション設備に不具合が見つかった場合や、不動産仲介業者とのトラブルが発生した場合、専門家である弁護士に相談することもご検討ください。弁護士に相談することで、以下のようなメリットがあります。

  • 法的なアドバイス:弁護士は契約不適合責任や仲介業者の説明義務に関する最新の法令や判例を理解しており、適切なアドバイスを提供します。これにより、買主は自身の権利を正確に理解し、適切な対応を取ることができます。
  • 交渉のサポート:売主や仲介業者との交渉において、弁護士は買主の権利を最大限に保護するための戦略を立てます。特に、法律的な知識が必要とされる交渉の場では、弁護士のサポートが大きな力となります。
  • トラブルの早期解決:問題がこじれる前に、弁護士が介入することで、スムーズにトラブルを解決することができます。これにより、時間とコストの節約が可能となります。
  • 裁判対応の準備:最悪のケースでは、訴訟に発展することも考えられます。その際、弁護士が早期に関与していれば、訴訟の準備もスムーズに進めることができ、有利な結果を得る可能性が高まります。

まとめ

マンション設備に不備があった場合、売主に対して契約不適合責任を追及できる可能性があります。また、不動産仲介業者にも調査や説明義務が課されており、これらの義務を怠った場合には、買主は損害賠償を請求することができます。こうした問題に直面した際には、早めに弁護士に相談することが、トラブルを未然に防ぎ、円滑に解決するための重要な手段となります。

弁護士法人長瀬総合法律事務所は、マンション購入における契約不適合責任等に関するご相談を承っております。不動産問題でお悩みの方はお気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

⻑瀬 佑志

⻑瀬 佑志

弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。約150社の企業と顧問契約を締結し、労務管理、債権管理、情報管理、会社管理等、企業法務案件を扱っている。著書『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)、『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践しているビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)ほか。

契約期間満了で建物賃貸借契約を終了させるためのポイント

害虫・害獣が発見された場合に契約不適合責任は追及できる?

お電話でのお問い合わせはこちら

電話受付 9:00〜23:00
18時以降・日祝はご予約のみ受付