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不動産明渡しの強制執行手続きとは?その流れと注意点

不動産明渡しの強制執行手続きは、賃貸借契約が終了しても居住者が物件を退去しない場合や、債務不履行による契約解除後も居座るケースにおいて、法的に物件の明け渡しを実現するために行われます。この手続きは、複雑かつ専門的な知識が必要となります。本稿では、その具体的な流れと注意点をわかりやすく解説します。

1.強制執行の申立て

まず、不動産の明渡しを求める強制執行を行うためには、所定の書類を揃えて地方裁判所の執行官に申立てを行う必要があります。必要な書類は以下のとおりです。

  • 債務名義:判決や和解調書など、明け渡しを命じる裁判所の文書
  • 執行文:債務名義に執行力を付与するための裁判所の書類
  • 送達証明書:債務者に対して債務名義が適切に送達されたことを証明する書類

これらの書類を揃えたうえで、物件が所在する管轄の裁判所に申立てを行います。この際、執行官に対して予納金が必要です。予納金は、強制執行に必要な費用を前もって支払うためのもので、実際の執行に伴う経費をカバーします。

申立て後、執行官との間で強制執行の方法や手順に関する打ち合わせを行います。この打ち合わせは、直接面談する場合もあれば、電話で行われることもあります。打ち合わせでは、強制執行を行う「明渡しの催告」日を決定します。

執行補助者の選定

強制執行では、荷物の運搬や保管が必要になるため、執行補助者と呼ばれる専門業者の手配も重要です。執行補助者は、強制執行の実施に際して現場で荷物を運び出す役割を担います。業者の費用はそれぞれ異なるため、信頼できる業者を選ぶことが大切です。

2.明渡しの催告

執行官との打ち合わせ後、実際に物件のある場所に赴き、明渡しの催告を行います。これは、債務者に対して物件の現況を確認し、明渡しを要求する正式な手続きです。催告の際には、執行官が指定した書類(公示書)を物件内に掲示し、債務者に対して引き渡し期限と強制執行の日付を通知します。

通常、申立てから約2週間後に明渡しの催告が行われ、引き渡し期限は催告から約1ヶ月後に設定されます。また、強制執行の日付は、引き渡し期限の数日前に指定されることが一般的です。このようにして強制的な明渡しが行われる日を「断行日」と呼びます。

注意すべき点は、引き渡し期限と断行日が必ずしも一致しない場合があるため、執行計画を確実に立てることです。

3.明渡しの断行

債務者が明渡しの催告に応じず、自主的に退去しない場合、明渡しの断行が行われます。断行日は、債権者も執行官に同行し、執行補助者が荷物を運び出す作業が行われます。執行補助者によって物件内の全ての荷物が運び出され、強制的な明渡しが完了します。

運び出された荷物は一定期間、保管されますが、所有者が引き取りに来ない場合、売却や廃棄処分が行われます。このプロセスは迅速かつ適切に進める必要があり、スムーズな実施のためには弁護士のサポートが不可欠です。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、明渡しの断行が滞りなく進むよう、全面的にサポートいたします。

弁護士に相談するメリット

不動産の強制執行手続きは、法的手続きの複雑さと精神的な負担が伴います。弁護士法人長瀬総合法律事務所に相談することで、以下のようなメリットがあります。

  1. 法的アドバイス:法的な観点から、最適な手続きや戦略を提案し、依頼者の利益を守ります。
  2. 手続きの円滑化:書類の準備や裁判所への申立てを代行し、手続きがスムーズに進むよう支援します。
  3. トラブルの予防:事前に発生し得るトラブルやリスクを予測し、最適な解決策を提供します。

まとめ

不動産の明渡し強制執行は、法的な専門知識を要するだけでなく、適切な手続きと計画が必要です。書類の不備や準備不足、業者選びの失敗は、手続きの遅延や不必要なトラブルを引き起こす可能性があります。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、これらの問題を未然に防ぎ、依頼者の不安を軽減するためにサポートいたします。不動産の明渡しにお悩みの際は、ぜひ一度ご相談ください。

この記事を書いた人

⻑瀬 佑志

⻑瀬 佑志

弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。約150社の企業と顧問契約を締結し、労務管理、債権管理、情報管理、会社管理等、企業法務案件を扱っている。著書『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)、『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践しているビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)ほか。

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