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賃貸借契約書に必須の条項

はじめに

賃貸物件の契約を結ぶ際、もっとも大切なのは「賃貸借契約書」の内容です。契約書には、物件の基本情報や契約期間、賃料、更新や解約の条件など、借主・貸主の双方が守るべきルールが明記されます。しかし、契約書を十分に確認せずにサインしてしまうと、後から「こんなはずではなかった」「想定外のトラブルが起きた」という事態に陥るケースも珍しくありません。

本稿では、賃貸借契約書に必須となる条項と、それぞれの条項で特に注意すべきポイントを解説していきます。一般的な契約書はひな形を元に作成されることが多いですが、貸主・借主の状況や物件の特性によって、必要な条文や注意点は変わります。契約締結前にチェックしておきたい情報をまとめました。

Q&A

賃貸借契約書には、どのような項目が必要でしょうか?

一般的には以下のような項目が必要、または望ましいといえます。

  • 当事者の表示(貸主・借主の名前・住所)
  • 物件の表示(所在地、部屋番号、専有面積など)
  • 賃料および支払い方法
  • 契約期間(定期借家か普通借家か)
  • 更新・解約に関する条項
  • 敷金・礼金・保証金の扱い
  • 共益費・管理費などの支払義務
  • 使用目的・禁止事項(転貸の可否、ペット可否など)
  • 原状回復義務に関する取り決め
  • 連帯保証人や保証会社の利用に関する規定
契約期間の設定で注意すべき点はありますか?

普通借家契約では契約期間は2年や3年が一般的ですが、期間満了時には原則として契約は自動更新されます。一方、定期借家契約では契約期間が満了すると契約が終了し、更新はありません。契約書にはどのタイプの契約期間であるか、更新の可否や更新料の有無が明記されているかを必ず確認しましょう。

「禁止事項」を定める条項は何が重要なのでしょう?

物件の使用目的を住宅に限定することや、他人への又貸し(転貸)禁止、ペット飼育の可否、楽器演奏や深夜の騒音などの行為が禁止される場合があります。また、近年は民泊・Airbnbなどのトラブルが増えているため、短期宿泊事業に関する規定が追加されているケースもあります。契約書で定める禁止事項は、物件を適切に管理・運営するための重要なルールです。

賃料の支払いについて、契約書に定めるべき内容は何でしょうか?

賃料の額、支払期限、支払方法(銀行振込、クレジットカード、口座引落など)、遅延した場合の遅延損害金率などを明記します。遅延損害金の上限は利息制限法などの規定により制限があります。口頭の約束だけではトラブルの元になるため、契約書上で詳細を確認しましょう。

契約締結前に確認しておくべきポイントは何ですか?

特に以下を押さえておくと良いでしょう。

  • 契約期間と更新の有無・方法
  • 賃料・敷金・礼金・更新料の金額・返還条件
  • 禁止事項や使用制限
  • 退去時の原状回復ルール
  • 保証人や保証会社の利用条件
  • 違約金・解約予告期間

これらを把握せずにサインすると、後から想定外の費用を請求されたり、退去時に揉めたりするリスクが高まります。

解説

必須条項とその重要性

  1. 当事者の表示
    賃貸借契約は貸主(オーナー)と借主(入居者)の間で結ばれますが、実際には管理会社が貸主の代理として契約に立ち会うことも多いです。いずれにしても、契約書には貸主と借主の氏名・住所を正確に記載する必要があります。貸主が法人の場合は法人名や代表者名が必要です。
  2. 物件の表示
    物件が特定されていないと、契約自体が無効になるリスクがあります。住所だけでなく、部屋番号や床面積、付帯設備などを具体的に示し、借主が借りる範囲を明確にします。
  3. 契約期間と更新の有無
    普通借家契約か定期借家契約かによって、更新や解約時のルールが大きく変わります。特に定期借家契約は更新がなく、契約終了時には必ず退去しなければならないのが原則です。
  4. 賃料・共益費・管理費
    賃貸借契約書の中でも重要な金銭面の取り決めです。賃料の金額、支払い方法、支払い期限、遅延損害金率などが明記されます。また、エレベーターや共用部分の維持費として支払う共益費・管理費などの金額・支払い義務も合わせて記載します。
  5. 敷金・礼金・保証金の取り扱い
    敷金は退去時の原状回復費用などを差し引いて返還されますが、礼金は返還されないケースが多いです。契約書に「退去時はどのような費用を誰が負担するか」「敷金はいくら、どんな条件で返金されるか」を明確にしておく必要があります。
  6. 禁止事項・使用目的
    転貸・ペット飼育・楽器演奏などの制限がある場合は、契約書に具体的に明記します。また、住居専用物件であるのに事務所や店舗として利用するといった用途違反に関する条文も重要です。
  7. 原状回復義務
    退去時に部屋をどの程度まで回復する義務があるのかは、しばしばトラブルになります。「通常損耗・経年劣化は貸主負担」「故意・過失による損傷は借主負担」といったルールが一般的ですが、契約書でどこまで明文化されているかチェックしましょう。
  8. 解約・契約解除に関する規定
    借主が賃料を滞納した場合、貸主が契約解除できるかどうか、またどのくらい滞納が続いたら解除できるのかなどが定められていることが多いです。借主が退去する際の予告期間(通常1~2ヶ月前など)についても書かれています。

実務上の注意点

  1. 管理会社とオーナーの役割分担
    契約書はオーナーと借主の間で結ぶのが原則ですが、実務では管理会社が仲介し、契約の事務手続きを進めるケースが多いといえます。管理会社とオーナーの権限や責任分担がどうなっているか、契約書や管理委託契約などを通じて把握しておくと安心です。
  2. 特約の有無
    ひな形だけでなく、追加の特約が記載されている場合があります。たとえば「退去時にハウスクリーニング代を借主が負担する」「ペット飼育の場合は敷金1ヶ月追加」など、物件や地域によって差が出ます。特約は有効性が問題になる場合もあるため、納得できない内容があれば事前に交渉しましょう。
  3. 連帯保証人・保証会社
    賃貸物件を借りるときは、連帯保証人か保証会社の利用を求められるのが一般的です。連帯保証人には大きな責任が伴うため、誰が連帯保証人になるかは慎重に決める必要があります。保証会社を利用する場合は、保証料や保証の範囲を契約書で確認しておきましょう。
  4. 違約金条項
    途中解約や重大な契約違反があった場合、違約金が発生する条項を設けることがあります。違約金の額が過度に高いと裁判で無効となる可能性もあるため、契約書の内容と法律の整合性を考慮することが大切です。

弁護士に相談するメリット

  1. 契約書のリーガルチェック
    賃貸借契約書はひな形を使うことが多いですが、必ずしもすべての物件・ケースにマッチしているわけではありません。弁護士に依頼すれば、契約書の文言が法律に適合しているか、特約が不当に片方に不利ではないかなどをチェックできます。
  2. 紛争予防・トラブル対処
    賃貸借契約は入居から退去まで長期にわたりますが、賃料滞納、原状回復費用、解約などの局面でトラブルが起こることもしばしば。弁護士が早期に介入すれば、紛争予防や適切な解決が図りやすくなります。
  3. 契約内容の交渉サポート
    借主・貸主それぞれの立場で、契約書の内容を交渉する場面があります。弁護士のサポートを受けながら交渉を進めれば、法律的に妥当で納得度の高い契約を結ぶことができるでしょう。
  4. 弁護士法人長瀬総合法律事務所の対応分野
    当事務所(弁護士法人長瀬総合法律事務所)では、賃貸借契約書の作成・チェックや、賃料滞納、契約解除の手続きなど、幅広い賃貸借契約の問題に対応しています。個人や企業オーナーの方など、多様な依頼実績がございますので、お気軽にご相談ください。

まとめ

賃貸借契約書は、借主・貸主双方にとって重要なルールブックです。契約締結前に契約項目をしっかり確認し、特に以下の点を押さえておきましょう。

  • 契約期間・更新の有無
  • 賃料や敷金・礼金などの金額と返還条件
  • 禁止事項や使用目的の制限
  • 原状回復義務や退去時のルール
  • 解約や契約解除の条件
  • 連帯保証人・保証会社の条件
  • 特約がある場合はその有効性と内容

トラブルを防ぐためには、曖昧なまま契約を結ぶのではなく、納得がいくまで契約書を読み込み、必要があれば専門家に相談してみることをおすすめします。

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この記事を書いた人

⻑瀬 佑志

⻑瀬 佑志

弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。約150社の企業と顧問契約を締結し、労務管理、債権管理、情報管理、会社管理等、企業法務案件を扱っている。著書『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)、『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践しているビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)ほか。

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