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所有権移転登記の基礎とポイント

はじめに

不動産を売買したり、相続や贈与を行った場合、最終的に不動産の所有名義を移転する手続きが必要になります。これが「所有権移転登記」です。所有権移転登記を行わないと、法的には新しい所有者であることを第三者に対して主張できず、トラブルが起きたときに不利な立場に立たされることもあります。

しかし、登記には多くの書類が必要で、期限が厳密に定められている場面もあるため、初めて行う方にはハードルが高いかもしれません。本稿では、不動産の所有権移転登記の基礎知識と注意点を整理し、実務上よくある疑問について解説します。売買・相続・贈与など、様々なケースでのご参考となれば幸いです。

Q&A

Q1.所有権移転登記は必ずしなければいけないのですか?

法律上、不動産の所有権移転登記は「義務」とまではされていません(売買の場合など)。しかし、登記をしないと第三者に対して所有権を主張できず、万一、二重譲渡や差押えなどが起きた場合に不利になる可能性があります。相続の場合には、一定期間内に相続登記を行うことが法律で義務化(2024年4月施行)されるため、今後は特に注意が必要です。

Q2.登記の申請は本人でもできますか?

申請自体は、本人が必要書類を整えて法務局に提出すれば手続き可能です。ただし、書類の不備や誤記などがあると法務局から補正を求められ、手続きが長引くことがあります。通常は、司法書士に依頼して行うケースが多く、費用はかかりますが、書類作成や税務的なアドバイスも含めてスムーズに手続きできる利点があります。

Q3.所有権移転登記にはどのような書類が必要でしょうか?

一般的には以下のような書類が必要となります。

  • 登記原因証明情報(売買契約書、贈与契約書、相続証明書類など)
  • 登記識別情報または登記済証(いわゆる権利証)
  • 固定資産税評価証明書
  • 印鑑証明書
  • 住民票(新所有者の住所証明)
  • 委任状(司法書士に依頼する場合)

具体的には登記原因(売買・相続・贈与等)によって異なるため、状況に応じて確認が必要です。

Q4.登録免許税とは何ですか?

登録免許税は、不動産の登記を行う際に国に納付する税金です。通常、「課税標準×税率」という計算方式で算出されます。税率は登記原因(売買・相続・贈与など)や住宅用・非住宅用によって異なり、軽減措置が適用される場合もあります。支払いは法務局に提出する登記申請書に貼付する「収入印紙」で行うのが一般的です。

Q5.登記を怠った場合のデメリットは何でしょうか?

大きく以下のようなリスクがあります。

  1. 所有権を対外的に主張できない
    不動産の真の所有者であっても、第三者が登記名義を得てしまうと、そちらが所有者として扱われることがあります。
  2. 売却・担保設定が難しくなる
    融資の際に担保設定ができず、金融機関から借入れができないケースが多い。
  3. 紛争リスク
    相続人間で相続登記をせず放置していた場合、将来的に共有者が増え、紛争が複雑化するなどの問題も生じやすい。

解説

所有権移転登記の流れ

1.必要書類の準備

  • 売買の場合:売買契約書、旧所有者の権利証、印鑑証明書、住民票など
  • 相続の場合:戸籍謄本、被相続人の除籍謄本、遺産分割協議書など
  • 贈与の場合:贈与契約書、旧所有者の権利証、印鑑証明書、受贈者の住民票など

2.登録免許税の計算

不動産の固定資産税評価額を基に、税率を乗じて登録免許税を算出します。居住用の特例や軽減税率が適用される場合もあるので、ケースバイケースで計算が異なります。

3.申請書の作成

法務局に提出する書類として、登記申請書を作成します。登記原因や日付(売買日、相続開始日など)、登記する不動産の所在地や家屋番号などを正確に記載し、必要書類を添付します。

4.法務局への提出

申請書と添付書類を物件所在地を管轄する法務局へ提出します。郵送での申請も可能ですが、書類不足や補正対応を考慮すると窓口申請のほうが手続きがスムーズなこともあります。

5.登記完了と登記識別情報の交付

申請が受理され問題がなければ、登記完了後に登記識別情報が交付されます。これが「権利証」のような役割を果たします。

 

ケース別の注意点

1.売買の場合

  • 売主・買主間での決済日に同時に登記申請することが多い。
  • 決済時に司法書士が立会い、書類チェックを行う流れが一般的。

2.相続の場合

  • 2024年4月から相続登記が義務化される。相続発生後、3年以内に相続登記が必要になる見込み。
  • 遺産分割協議書の内容や他の相続人の印鑑証明書など、書類準備に時間がかかるため、早めの対処が望ましい。

3.贈与の場合

  • 贈与契約書が登記原因証明情報として必要。
  • 贈与税の問題があり、一定の税制特例を利用する場合は、適用要件を満たしているか厳格にチェックする必要がある。

実務上のトラブル例

1.書類不備で登記ができない

売主の印鑑証明書の期限切れ、相続関係を証明する戸籍謄本が不足、住民票の住所が実際と違うなど、細かな不備が多く、法務局から補正を求められ手続きが長期化する。

2.登記原因の日付に誤り

売買契約日や相続発生日など、登記原因の日付が間違っていると補正が必要になり、場合によっては契約書の修正が求められることもある。

3.相続登記未了で所有者不明化

長期間にわたり相続登記をせず放置した結果、相続人が多数に増え、全員の合意がまとまらずに登記がますますできなくなるケース。公共事業の用地買収などで問題が顕在化することがある。

弁護士に相談するメリット

1.複雑な利害関係の調整

相続登記などでは利害関係人が多い場合があり、全員の同意を得るのが難しいケースも存在します。弁護士が交渉や調整を行えば、スムーズに遺産分割協議や同意取得が可能になる場合があります。

2.契約リスクの検証

売買契約や贈与契約に法的リスクや瑕疵がないかを弁護士がチェックし、後々の紛争を防ぐことができます。契約内容に不利な条項がないかなどの確認にも役立ちます。

3.関連手続き・税務との連携

相続税や贈与税、不動産取得税など税金の問題が絡む場合、弁護士と税理士が連携してアドバイスを行うことで、最適なスキームを立案できます。

4.紛争発生時の対応

所有権移転登記に関するトラブル(売主・買主の意見対立、相続人間の紛争など)が起きた際、弁護士が仲介や代理人として交渉し、調停や訴訟へ進む場合も含めて一貫した対応が期待できます。

5.弁護士法人長瀬総合法律事務所の強み

当事務所(弁護士法人長瀬総合法律事務所)では、不動産取引や相続登記などの案件を多く取り扱っており、登記手続きに伴う紛争解決や契約書のレビューなど幅広いサポート実績があります。司法書士や税理士とも連携し、ワンストップでサポートいたします。

まとめ

  • 所有権移転登記は不動産の名義を正しく変更し、所有者としての権利を公示するために非常に重要。
  • 書類の不備や期限の問題、登録免許税の算出など、多くの注意点がある。
  • 売買・相続・贈与など登記原因別に必要書類や税率が異なるため、事前にしっかりと確認する。
  • 相続登記は義務化が進むため、放置していると将来的に大きなトラブルになる可能性が高まる。
  • 専門家(司法書士・弁護士)への相談を通じ、正確かつスムーズに手続きを行い、紛争リスクを軽減するのがおすすめ。

登記手続きは不動産の権利関係を安定させる極めて大切な手続きです。自身で行う場合も含め、必要な手順と書類をしっかり把握しておくことがトラブル回避の第一歩となります。

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売買や相続で登記を検討している方、どのような書類が必要かわからない方は、ぜひ下記のリンクからご視聴ください。

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この記事を書いた人

⻑瀬 佑志

⻑瀬 佑志

弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。約150社の企業と顧問契約を締結し、労務管理、債権管理、情報管理、会社管理等、企業法務案件を扱っている。著書『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)、『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践しているビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)ほか。

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