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共有物分割における全面的価格賠償とは

はじめに

不動産の共有物分割において、さまざまな方法が存在します。その中でも「全面的価格賠償」とは、特定の共有持分権者が不動産全体を取得し、他の共有持分権者に対して代償金を支払うことで共有状態を解消する方法です。これは、共有状態から解放されるだけでなく、取得者にとっては不動産の自由な利用が可能となる重要な手段です。本記事では、全面的価格賠償の詳細、その適用される状況、手続きの流れについて説明し、最後に弁護士に相談するメリットについてご紹介します。

全面的価格賠償とは

全面的価格賠償とは、共有物の分割方法の一つで、特定の持分権者が不動産全体を取得し、他の持分権者にその代償として金銭を支払う方法です。共有物分割には他にも、以下のような方法があります。

  • 現物分割: 不動産を物理的に分け、それぞれの持分権者に割り当てる方法。
  • 金銭代価分割: 不動産を売却し、その売却代金を持分に応じて分配する方法。
  • 全面的価格賠償: 特定の持分権者が不動産を全て取得し、他の持分権者に代償金を支払う方法。

全面的価格賠償が選ばれる背景には、共有状態からの解消と、取得者による不動産の自由な利用の可能性があることが挙げられます。また、他の持分権者も適切な代償金を受け取ることで、共有物の処分に対する同意が得られやすくなります。

全面的価格賠償が選ばれる場面

共有物分割は、協議による方法と裁判による方法があります。特に裁判所が介入する場合、全面的価格賠償が認められるかどうかは以下の要因が重要となります。

1. 特定の持分権者が全体を取得する相当性

不動産を特定の持分権者が全て取得することが適切かどうかは、持分割合、共有物の現在の利用状況、各当事者の希望などの要素を総合的に判断して決定されます。特に、不動産を継続的に利用している者がそのまま全体を取得する方が実務的に適切な場合に、全面的価格賠償が選ばれることが多い傾向にあります。

2. 不動産の適正な評価

代償金の支払いに際しては、不動産の市場価値を正確に評価することが不可欠です。評価が不適切な場合、持分権者間で不公平な結果が生じるため、裁判所はそのような代償分割を認めません。通常、不動産の専門家による評価が必要となり、場合によっては複数の評価者から意見を求めることもあります。

3. 代償金の支払い能力

全面的価格賠償を実行する際、取得者が他の持分権者に対して代償金を支払う能力があるかどうかが重要です。裁判所は、この支払い能力を慎重に審査し、支払い能力がない場合には他の分割方法を検討することになります。例えば、取得者の資産状況やローンの利用可能性などが考慮されます。

全面的価格賠償の具体的手続き

全面的価格賠償の手続きには、以下のステップが含まれます。

1. 不動産の評価

まず、不動産の市場価値を適切に評価する必要があります。評価には不動産鑑定士などの専門家の意見が重要であり、その市場価値を正確に把握することが求められます。

2. 取得者の決定

共有持分権者の中から、誰が不動産を全体として取得するかを決定します。この決定は当事者間の合意に基づくことが理想ですが、合意が得られない場合には、裁判所が関与して決定を下すことになります。

3. 代償金の計算

次に、不動産の評価額に基づき、共有持分割合に応じて代償金の金額を計算します。

4. 代償金の支払いと所有権の移転

最後に、取得者が他の持分権者に対して代償金を支払い、その代わりに不動産の全所有権が取得者に移転されます。所有権の移転には、不動産登記の手続きが必要となり、これにより全面的価格賠償による不動産分割が完了します。

全面的価格賠償がもたらすメリットと課題

全面的価格賠償は、取得者が不動産を完全に支配できるため、自由な利用や将来的な売却が可能となる点で大きなメリットがあります。また、他の共有持分権者は適切な代償金を受け取ることで、共有関係から解放され、経済的な利益を得ることができます。しかし、この方法には、取得者が多額の代償金を用意する必要があるという課題も伴います。

弁護士に相談するメリット

全面的価格賠償を含む共有物分割は、複雑な法律的問題や手続きを伴います。そのため、専門家の助言が有益です。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、共有物分割に関する豊富な経験を持つ弁護士が、依頼者の立場に立って最適な解決策を提案します。弁護士に相談することで、法的リスクを最小限に抑えつつ、スムーズに手続きを進めることができます。

まとめ

全面的価格賠償は、共有物分割において有効な方法です。共有状態を解消し、特定の持分権者が不動産を自由に利用できるようにする一方で、他の持分権者も適切な代償金を受け取ることができます。しかし、この方法を選択するには、法的な要件や手続きが複雑であり、専門的な知識が求められます。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、このような複雑な手続きをサポートし、依頼者の権利を最大限にできるよう努めます。

不動産の共有問題でお困りの際は、ぜひ当事務所にご相談ください。

この記事を書いた人

⻑瀬 佑志

⻑瀬 佑志

弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。約150社の企業と顧問契約を締結し、労務管理、債権管理、情報管理、会社管理等、企業法務案件を扱っている。著書『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)、『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践しているビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)ほか。

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