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不動産の売買代金・手付金に関する注意点

はじめに

不動産を売買する際には、売買価格(売買代金)とともに「手付金」に関する取り扱いを正しく理解しておくことが極めて大切です。物件の購入費用は人生において非常に大きな支出となりますから、購入者(買主)の立場としても、また売却者(売主)の立場としても、失敗の許されない金銭管理が求められます。

特に「手付金」は契約時に授受される金銭であるうえ、解約や違約が生じた際のペナルティに直接関係する場合もあり、その内容を曖昧にしてしまうと後々深刻なトラブルにつながりかねません。また仲介業者に支払う仲介手数料やその他の諸経費についても、十分に知識をもって臨むことが重要です。

本稿では、不動産売買における「売買代金」と「手付金」の基本的な役割や注意点、また仲介手数料などを含む諸経費について解説します。売買価格の設定や支払いに不安を抱えている方はもちろん、これから物件を売却しようと考えている方も、本記事を通じて契約を円滑に進めるためのヒントを得ていただければ幸いです。

Q&A

Q1.不動産の売買代金はどのように決定されるのですか?

不動産会社に査定を依頼し、市場価格を参考に設定することが一般的です。近隣の成約事例や公示価格、路線価などのデータを考慮し、最終的には売主と買主の合意で決定します。売主が高すぎる希望価格を設定してしまうと買主が現れにくくなる可能性があり、逆に安すぎると売主の利益が損なわれるため、慎重なバランスが必要です。

Q2.手付金にはどのような役割があるのでしょうか?

手付金には大きく分けて3つの役割があります。

  1. 証拠手付
    売買契約が成立した証拠とする。
  2. 解約手付
    買主側が契約を解除したい場合、手付金を放棄して解除する(売主側の場合は倍返し)。
  3. 違約手付
    契約違反の際、違約金として没収または返還義務が生じる。

契約書に特約があれば、解約・違約時の扱いは変わる場合があります。

Q3.手付金以外に必要な費用や仲介手数料はどうなっていますか?

不動産の売買には、手付金や売買代金以外にも以下のような費用がかかる場合があります。

  • 仲介手数料
    宅建業者(不動産仲介会社)の成功報酬
  • 印紙税
    売買契約書に貼付する印紙
  • 登記費用
    所有権移転登記や住宅ローン設定登記にかかる費用
  • 固定資産税・都市計画税の日割り精算
  • 住宅ローン手数料、火災保険料など

解説

専門用語の定義

  • 売買代金
    不動産の売買契約において、買主が支払う物件の購入金額のことを指します。価格設定は市場相場・物件の立地・築年数・周辺環境など、さまざまな要素を総合的に考慮して行います。
  • 手付金
    契約締結時に買主から売主へ支払われる金銭を指し、前述の通り「証拠手付」「解約手付」「違約手付」などの性質を持ちます。手付金は売買代金の一部に充当されますが、解約や違約が生じると没収や返還が発生する場合があります。
  • 仲介手数料
    不動産会社が取引の仲介を行った場合に、成功報酬として支払われる費用です。
  • ローン特約
    住宅ローンを利用して購入する場合、買主がローン審査に通らなかったときに手付金を返還して契約解除ができるよう定めた特約です。

基本的な流れ・手続き

  1. 売買価格の検討・査定
    売主は仲介業者などを通じて物件の査定を行い、売買価格の目安を定めます。買主は購入予算や希望条件を基に物件を探します。
  2. 重要事項説明・契約書案確認
    不動産会社が仲介に入る場合、宅建業者は買主に対して重要事項説明を行い、契約書(売買契約書)の案を作成します。売主・買主が条件や条項を確認・交渉します。
  3. 売買契約締結・手付金支払い
    売主・買主双方が合意したら契約書を取り交わし、買主は手付金を支払います。契約を締結した時点で、原則として不動産売買の効力が発生します。
  4. 融資手続き(住宅ローン)
    買主は住宅ローンの申込・審査などを進めます。ローン特約により、万一審査が通らない場合には契約解除が可能となることもあります(契約書の条項次第)。
  5. 残代金決済・物件引渡し
    指定された決済日に買主は残代金を支払い、同時に所有権移転登記手続きを行います。また固定資産税や管理費などの精算や、仲介手数料の支払いも同日に行われます。

実務上の注意点

  1. 契約書への明記
    手付金の金額、支払時期、解約時の扱いなどを明文化し、誤解が生じないようにしましょう。また、仲介手数料の金額や支払い時期も契約書や重要事項説明書でしっかり確認してください。
  2. ローン特約の設定
    住宅ローンを利用する場合は、ローン特約を入れるか否かでリスクが大きく変わります。売主にとっては契約不成立リスクが高まるため、特約の適用期間や条件を厳密に定めることが重要です。
  3. 仲介業者とのコミュニケーション
    手付金や諸費用の設定は、一般の方にとっては分かりにくいものです。仲介業者としっかり相談し、相場や物件の状況を踏まえながら無理のない金額・スケジュールを決めましょう。
  4. 売主と買主の希望バランス
    売主はできるだけ高く・条件の良い取引を希望し、買主はできるだけ安く・リスクの少ない取引を希望します。契約の決定権は、実質的には両者の交渉力や需要と供給のバランスに左右されるため、柔軟な姿勢が必要です。

弁護士に相談するメリット

  1. 契約トラブル予防
    売買代金や手付金の設定、あるいは解約条項などが複雑で、後々重大なトラブルになり得るポイントを、事前に弁護士が精査してくれます。誤解や思い込みによる紛争を予防する上でも、第三者的なチェックは有効です。
  2. 契約書のリーガルチェック
    売買契約書や重要事項説明書の内容が法律に適合しているか、あるいは特定の当事者に著しく不利な条項が入っていないかなど、専門的な観点からアドバイスが得られます。
  3. 解約や違約の際の交渉支援
    実際に解約を申し出る場合や違約が発生した場合、当事者だけで話し合うと感情的になりがちです。弁護士が間に入ることで、法的根拠に基づきスムーズな問題解決を図ることが期待できます。
  4. 費用とリスクのバランス
    弁護士費用が気になる方も多いですが、不動産売買は非常に高額な取引であり、万一のトラブル発生時に裁判や損害賠償などを考えると、事前に専門家を活用しておく方が結果的に安価に済むケースも少なくありません。
  5. 弁護士法人長瀬総合法律事務所のサポート
    当事務所(弁護士法人長瀬総合法律事務所)では、売買代金・手付金に関する契約書チェックや、不動産売却・購入における諸問題の相談対応を幅広く行っています。個人の方から企業まで、多様な不動産取引の法的サポート実績がありますので、お気軽にお問い合わせください。

まとめ

不動産売買における売買代金や手付金は、契約を左右する重要な要素です。買主・売主双方にとって大きなリスクを伴うため、以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 売買代金は市場相場や立地条件などを踏まえ慎重に設定する
  • 手付金は解約時や違約時の扱いを明確に定めておく
  • 仲介手数料や諸費用も含めた総支払い額を事前に把握する
  • ローン特約を利用する場合、特約内容や期限の確認を徹底する
  • 不安な点やリスクは、早めに専門家(弁護士・不動産会社)に相談する

売買代金の決定や手付金の設定で見落としがあると、後から想定外の出費やトラブルが発生する可能性があります。大切な資金を守るためにも、契約時にはあらゆる条項を十分に理解し、疑問点は解消してからサインを行いましょう。

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この記事を書いた人

⻑瀬 佑志

⻑瀬 佑志

弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。約150社の企業と顧問契約を締結し、労務管理、債権管理、情報管理、会社管理等、企業法務案件を扱っている。著書『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)、『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践しているビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)ほか。

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