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仲介業者の選び方と比較のポイント

はじめに

不動産を売却・購入する際には、多くの場合で不動産仲介業者のサポートを受けることになります。しかし、仲介業者にもさまざまな種類や規模、得意分野があり、「どの業者を選べば失敗しないのか」「大手と地元密着型のどちらがいいのか」といった悩みを抱える方は少なくありません。

仲介業者の選び方を誤ってしまうと、販売価格が適切に設定されなかったり、十分な広告活動を行ってもらえなかったりと、不利な条件での取引に陥るリスクもあります。一方で、適切な業者をパートナーにできれば、短期間で良い条件で取引を成立させることが期待できます。

ここでは、不動産仲介業者を選ぶ際のポイントや、大手業者と地域密着型業者の特徴比較、仲介手数料など実際にかかる費用について解説します。安心して不動産売買を行うために、適切なパートナー選びのヒントを得てください。

Q&A

Q1.大手不動産会社と地元の不動産会社、どちらを選ぶべきですか?

大手不動産会社は全国展開のブランド力があり、ネットワークを活かして広範囲に広告を打ちやすい利点があります。一方、地元の不動産会社は地域の特性や相場に精通しており、より細やかな対応や人脈を期待できるメリットがあります。物件の所在地域やあなたの希望する販売・購入戦略に合った方を選ぶのが理想的です。

Q2.「専任媒介」や「一般媒介」とは何ですか?

仲介契約の形態のことで、不動産の売却を依頼する際には主に3つの形態があります。

  • 専属専任媒介
    1社の仲介業者だけに依頼。かつ、自分で見つけた買主と直接契約することも原則不可。
  • 専任媒介
    1社だけに依頼だが、自分で見つけた買主と直接契約は可能。
  • 一般媒介
    複数の業者に依頼可能。

それぞれ情報公開の義務や報告義務の頻度などに違いがあるため、自分の状況や希望に合った契約形態を選びましょう。

Q3.仲介業者の得意分野はどのように見分けたらいいですか?

ホームページや口コミ、過去の成約実績などを調べるのが効果的です。例えば「新築戸建て販売に強い」「投資用マンションの売買実績が多い」など、業者ごとに異なるカラーがあるので、自分が売却・購入を検討している物件タイプと合致しているかどうかを確認しましょう。

Q4.契約前に仲介業者に確認すべきポイントは?

以下のような項目を確認するのがおすすめです。

  • 費用や仲介手数料の見積もり
  • 広告活動の方法・戦略(ポータルサイト、折り込みチラシ、SNSなど)
  • 担当者の経験・得意エリア
  • 売却・購入のスケジュール感
  • 囲い込み(情報非公開)を行わないか

解説

専門用語の定義

  • 仲介業者(宅建業者)
    不動産の売買や賃貸の仲介を行う事業者。宅地建物取引業法に基づき免許を取得して営業しています。大手フランチャイズチェーンから地元密着の零細業者まで規模はさまざま。
  • 媒介契約
    不動産売却を仲介業者に依頼する際に結ぶ契約。専任媒介や一般媒介など複数の種類がある。媒介契約の締結後、仲介業者は広告活動などを通じて買主を探す義務を負う(契約形態によって詳細は異なる)。
  • 囲い込み
    他の不動産会社からの問い合わせを制限し、契約成約を自社で独占しようとする行為。売主に不利な状況が生まれやすく、問題視されている。

基本的な流れ・手続き

  1. 仲介業者探し・問い合わせ
    複数の業者を比較検討し、気になる業者に問い合わせをします。地域に特化した業者と全国展開の大手、それぞれに特色があるため複数に連絡してみるのがおすすめです。
  2. ヒアリング・物件査定
    売却の場合は、業者が物件を査定し、売却可能価格やかかる期間などの見込みを提示します。購入の場合は、どのような物件を探しているか予算やエリアの希望などをヒアリングします。
  3. 媒介契約の締結(売却時)
    売却依頼の場合、どの契約形態にするか(専属専任・専任・一般)を決め、媒介契約を締結します。担当者が販売活動をスタートさせます。
  4. 広告活動・紹介・内覧
    不動産ポータルサイトへの掲載やチラシ、店舗紹介などさまざまな手段を使って買主を探します。購入希望者が現れたら内覧・内見などを実施します。
  5. 条件交渉・売買契約
    売主・買主が価格や条件で合意に至れば、売買契約書を作成・締結し、仲介手数料を支払います。

実務上の注意点

  1. 複数業者に査定を依頼する
    大手と地元業者、合わせて2~3社程度に査定を依頼し、価格の妥当性や営業方針の違いを比較しましょう。極端に高い査定額を示されても、実際に売れる金額とは限らないため注意が必要です。
  2. 担当者レベルの見極め
    会社の規模よりも担当者の経験・熱意・誠実さが結果を左右することは少なくありません。面談時の印象や、質問への回答の仕方、実績の確認などを行い、信頼できる担当者かをチェックしましょう。
  3. 媒介契約の締結条件をよく読む
    担当業者がどの程度の頻度で報告してくれるのか、広告はどれくらいの範囲で実施するのか、売主側の要望をどこまで聞いてくれるかなど、事前に細かく確認してください。
  4. 囲い込みのリスク
    悪質な業者は他社からの問い合わせをブロックして自社内で契約をまとめようとする場合があります。売主としては買主の選択肢が狭まるため損をする可能性があります。囲い込みが疑われる言動がある場合は、他の業者への依頼も検討しましょう。

弁護士に相談するメリット

  1. 媒介契約や売買契約のリーガルチェック
    仲介業者との契約内容、売買契約書の条項など、法的に問題がないか確認できます。もし不利な特約があった場合も、弁護士がアドバイスを行い改善を促すことができます。
  2. 業者トラブルの解決サポート
    もし仲介業者との間で手数料や広告活動、契約内容に関するトラブルが発生した場合、弁護士に相談すれば適切な解決策を探ることが可能です。
  3. 売買全体のスキーム構築
    売主・買主両面の視点から、どういった条件設定が望ましいかを総合的にアドバイスできます。不動産取引は高額であり、法的リスクが大きいため、弁護士の目線を入れることで安全性が高まります。
  4. 弁護士法人長瀬総合法律事務所での対応
    当事務所(弁護士法人長瀬総合法律事務所)では、媒介契約のトラブルに関して多くの相談実績があります。仲介業者との交渉から売買契約書のチェックまでサポートいたします。

まとめ

不動産仲介業者の選定は、売却・購入が成功するかどうかを左右する重要なファクターです。

  • 大手か地元密着型か
    物件の所在地や相場、売主・買主の希望条件によって最適な選択肢は変わります。両方を比較検討し、自分の目的に合致する業者を選びましょう。
  • 担当者の力量がカギ
    担当者の経験や知識、熱意が結果を左右します。面談で直接話を聞き、信頼できるかどうかを見極めましょう。
  • 媒介契約の種類を理解する
    専属専任・専任・一般それぞれの特徴を理解し、自分に合った契約形態を選ぶことで効果的な売却活動を行いやすくなります。
  • 囲い込み対策
    悪質業者の囲い込み行為には要注意。報告義務や情報公開状況を適宜チェックし、不審点があれば早めに見直しを検討しましょう。

不動産取引は大きな金額を伴うだけに、後悔が生じないよう慎重に進めることが大切です。仲介業者はあくまで「パートナー」であり、最適なパートナーを見つけることが、スムーズな取引への近道といえます。

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この記事を書いた人

⻑瀬 佑志

⻑瀬 佑志

弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。約150社の企業と顧問契約を締結し、労務管理、債権管理、情報管理、会社管理等、企業法務案件を扱っている。著書『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)、『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践しているビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)ほか。

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