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境界確定登記と測量の進め方

はじめに

土地を売買したり、建物を建築したりする際に問題となりやすいのが「境界」の問題です。どこからどこまでが自分の土地なのか、隣地との境界が不明確な場合、あとから大きなトラブルに発展することがあります。そこで、境界を明確にする手続きとして「境界確定登記」が用いられます。また、境界確定にあたっては測量が不可欠であり、測量結果に基づいて登記を行う流れです。

本稿では、境界確定登記の基本と測量の進め方を中心に解説し、境界が不明瞭な土地を安全に取引・利用するために押さえておきたいポイントをまとめます。

Q&A

Q1.「境界確定」とは何ですか?

境界確定とは、隣接する土地の所有者と協議・合意のもと、「ここが土地の境界線だ」ということを公的に確定し、登記簿や地図に反映させる手続きです。正確には境界確認を行ったうえで行う登記として、「地積更正登記」や「地積分筆登記」などが含まれるケースが多いです。

土地家屋調査士が境界を調査・測量し、隣地所有者との立会いを経て書面で合意を取り、法務局に登記を申請します。

Q2.境界確定にはどうやって測量を進めるのでしょうか?

一般的に、土地家屋調査士が現場で三角測量やトラバース測量などを実施し、隣接土地所有者との立会いで「境界標」を設置します。測量図や境界確認書を作成し、地積更正登記や分筆登記を申請します。大きな開発案件では、公共測量の基準点を使う場合もあります。

Q3.境界問題で隣地所有者が合意してくれない場合はどうするのですか?

協議や話し合いで合意できない場合、筆界特定制度や民事調停・裁判で境界線を確定させる方法があります。筆界特定制度では、法務局が第三者的立場で境界を特定しますが、当事者を強制する力はありません。調停や裁判に移行し、最終的に司法の判断を仰ぐケースもあります。

Q4.測量にはどれくらい費用がかかりますか?

測量費用は、土地の面積や形状、隣地所有者の数、境界の複雑さなどによって大きく異なります。複数の土地家屋調査士から見積りを取得し、信頼できる専門家を選ぶことが大切です。

解説

境界確定登記・測量の基本手順

  1. 事前調査
    土地家屋調査士が登記簿や公図、古い測量図などを確認し、どのような境界点が想定されるかを把握します。
  2. 現地測量・仮設置
    現地で測量を行い、境界の候補点を仮に設置します。必要に応じて境界杭やプレートを打ち込みます。
  3. 隣地所有者との立会い
    隣接地の所有者を呼んで境界の認識を確認し、問題がなければ境界承諾書(立会確認書)に署名・押印をもらいます。この工程がスムーズにいかないと、後から紛争に発展する可能性があります。
  4. 測量図・図面作成
    立会いで確定した境界を基に正式な測量図を作成します。地積更正登記などに必要な添付書類となるため、誤りなく作成することが重要です。
  5. 法務局への登記申請
    作成した測量図や境界承諾書などを添付し、法務局で地積更正登記や分筆登記などの形で公的に登記簿に反映させます。これで境界が登記上も明確になり、安心して利用・取引ができるようになります。

境界確定・登記と地積更正登記

  1. 地積更正登記
    過去の登記情報と実測した面積に差異がある場合、登記簿上の地積を実測値に合わせるための登記が「地積更正登記」です。この際に境界確定が行われ、隣地所有者との合意を得た上で正しい地積を法務局が認めます。
  2. 分筆登記
    土地を分割して売却・相続・開発などを行う際、分筆登記が必要となりますが、その前提として境界が明確であることが求められます。測量や境界確定を済ませ、各筆ごとの面積を確定した上で分筆登記を申請します。

実務上の注意点

  1. 筆界特定制度の活用
    隣接地所有者と話し合いがまとまらない場合、法務局の「筆界特定登記官」による筆界特定制度を利用する方法があります。行政機関が客観的な資料や専門家の意見を集め、境界を特定する手続きを進めますが、強制力はありません。
  2. 境界標の管理
    境界確定後、境界杭や標識を設置したら、勝手に移動したり破損したりしないように管理が必要です。故意に境界杭を抜いたり変形させる行為は罰則の対象となります。
  3. 費用負担と調整
    境界確定には隣地側も協力が必要であり、費用を折半するのか、依頼者が全額負担するのかなど協議が必要です。紛争リスクを回避するため、費用負担の割合をあらかじめ文書化しておくと安心です。

弁護士に相談するメリット

  1. 境界紛争の早期解決
    隣地所有者が境界を認めない、立会いに応じてくれないなど、協議が難航する場合、弁護士が代理人として交渉し、法律的根拠や判例を示しながら合意形成を図ることができます。
  2. 筆界特定制度・調停・訴訟対応
    合意が得られず筆界特定制度や民事訴訟に進む場合でも、弁護士が手続きを適切に進めることで、紛争が長期化しないよう努められます。裁判所での境界確定判決を得れば、強制力を伴う解決も可能です。
  3. 測量・専門家との連携
    弁護士が土地家屋調査士や測量士と連携し、境界線確定に必要な専門的調査や図面作成をサポート。行政への届出や手続き全般も一括して進められる体制を築きやすくなります。
  4. 弁護士法人長瀬総合法律事務所の実績
    当事務所(弁護士法人長瀬総合法律事務所)は、境界紛争、土地測量トラブル、地積更正登記などに関する案件を扱っており、調査士・測量士とのネットワークも有します。円滑な登記と紛争解決をサポートいたします。

まとめ

  • 境界確定登記は、隣地所有者との協議や測量を経て境界を公的に確定し、登記簿や公図に反映させる手続き。
  • 測量は土地家屋調査士が行い、立会いで境界確認を得る流れが基本。
  • 地積更正登記・分筆登記などと合わせて行われ、正しい地積や筆界線を法務局が認めることで紛争リスクが減少。
  • 隣地所有者が合意しない場合は、筆界特定制度や調停・訴訟で境界を確定する方法もあるが、時間と費用がかかる。
  • 弁護士・土地家屋調査士の連携により、適正な境界確定とトラブル予防が期待できる。

土地の境界は不明確だと大きなトラブルに発展しがちです。売買や分筆、建築計画などがある場合には、早めに専門家へ相談し、境界確定登記をスムーズに進めることをおすすめします。


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この記事を書いた人

⻑瀬 佑志

⻑瀬 佑志

弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。約150社の企業と顧問契約を締結し、労務管理、債権管理、情報管理、会社管理等、企業法務案件を扱っている。著書『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)、『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践しているビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)ほか。

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