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境界確認の法的根拠と基本手続き

はじめに

土地の所有者にとって「どこまでが自分の敷地なのか」を把握することは極めて重要です。しかし、実際には古い地図や測量の誤差などによって、隣地との境界が不明確になっているケースが少なくありません。これが原因で紛争に発展すると、売買や建物の建築などで大きな支障が生じる可能性があります。

本稿では、境界の確認に関する法的根拠や、基本的な確認手続きの流れを解説します。境界が曖昧なままでは、後々思わぬトラブルに見舞われることもあるため、早めの手続きがトラブル回避の鍵となります。

Q&A

Q1.境界とは何を指すのですか?

境界とは、隣接する土地同士の境目のことです。地図や登記簿上で「筆界」や「所有権界」と呼ばれる場合もあります。厳密には、「筆界」は法的に定まった境界線を指し、「所有権界」は実際に所有者が主張する境界線を指すことがあります。

Q2.境界を確定するにはどうすればいいのでしょうか?

主な方法としては、以下のような手段があります。

  1. 隣地所有者と協議・合意(境界確認書の作成)
  2. 土地家屋調査士による測量と境界標の設置
  3. 筆界特定制度(法務局が第三者的立場で境界を特定)
  4. 民事調停・裁判(協議や筆界特定制度で解決できない場合)
Q3.境界確認はなぜ大切なのですか?

境界線があいまいだと、土地の売買や建物の新築・増改築時に隣地所有者とのトラブルが起きやすくなります。例えば、建物が越境してしまったり、敷地面積を誤解したまま売買契約を進めると大きな損害を被る可能性があります。

また、公的手続き(分筆登記・地積更正登記など)を行う際にも、境界確認が必要になるケースが多いです。

Q4.境界に関する法律的根拠は何ですか?

民法には、土地の境界に関する規定がいくつか定められています。例えば、民法第209条~第238条において隣接関係が規定されており、境界線上の工作物や樹木の扱いなども言及されています。また、不動産登記法の規定で、登記上の地積や筆界を明確化するために地積更正登記や分筆登記が必要な場合もあります。

Q5.「筆界特定制度」とはどのような制度ですか?

筆界特定制度とは、法務局(登記官)が申請に基づいて、登記記録や測量図、過去の公図など客観的資料を調査し、「登記上の筆界」を特定する制度です。あくまでも筆界の推定を行う制度であり、当事者を強制的に拘束する判決ではありません。

筆界特定制度で解決できない場合、最終的には民事調停や裁判で境界を確定することになります。

解説

境界確認の基本的な手順

1. 資料収集・現地調査
  • 法務局で公図や登記簿、測量図を取得する。
  • 古い地積測量図や過去の境界確認書があれば確認。
  • 現地で既存の境界標や塀、道路との関係などを確認する。
2. 隣地所有者との協議
  • 測量や図面をベースに境界線の候補を提示し、隣地所有者と意見交換。
  • お互いの主張が一致すれば、境界確認書(立会確認書)を作成し署名・押印。
3. 測量士・土地家屋調査士の活用
  • 専門家が測量を行い、正確な境界位置を示す図面を作成。
  • 地積更正や分筆登記が必要な場合は、土地家屋調査士が手続き代理を行う。
4. 登記申請(必要に応じて)
  • 決まった境界を法務局に地積更正登記などで反映させれば、登記簿上も正しい面積や境界線が確定する。
  • 合意が得られない場合は、筆界特定制度や調停・裁判へ進む。

境界確認書の作成ポイント

  1. 境界標や測点の明示
    どの箇所が境界点なのか、図面や写真も添えてわかりやすく記載します。複数の境界点がある場合は番号付けなどを行い、書面上と現地で対応できるようにします。
  2. 当事者の立会いと同意
    隣地所有者、当該土地の所有者、関係者が全員出席し、境界確認書に実印を押印します。印鑑証明書を添付することで、後日の争いを防ぎやすいです。
  3. 測量図の添付
    専門家(調査士)が作成した測量図を添付し、正確な数値を示す。縮尺や測点の座標などを明記し、後日「どの点がどこに当たるのか」不明になる事態を防止します.

実務上の注意点

  1. 協議が難航する事例
    古い集落や山林など、歴史的経緯による複雑な境界争いがある場合、双方の主張が激しく対立し、合意形成が困難になることがあります。弁護士や調停手続きを活用すると円滑に進むことがあります。
  2. 公図と現況のズレ
    公図が旧測量法に基づいており、実測と大きく異なることがしばしばあります。境界確認では、公図よりも現地実測や過去の境界標の存在などを重視する必要があります。
  3. 境界標の定期管理
    一度合意した境界標が、後日移動・破損・紛失すると再度トラブルに発展しやすいです。定期的な巡回や管理で境界標を保護することが大切です。

弁護士に相談するメリット

  1. 協議・交渉の専門家
    隣地所有者との協議が難航する場合、弁護士が代理人として法的根拠や判例を踏まえて交渉することで、冷静かつ客観的な合意形成が期待できます。
  2. 筆界特定制度・調停・裁判対応
    話し合いがまとまらない場合、筆界特定制度や民事調停・裁判へ進む必要があります。弁護士は申請書作成や証拠収集、法廷での主張立証などを総合的にサポートし、紛争解決を目指します。
  3. 測量士・土地家屋調査士との連携
    弁護士が土地家屋調査士などの専門家と連携を取り、測量・図面作成から合意書作成、登記手続きまでをワンストップで進められる体制を構築できます。
  4. 弁護士法人長瀬総合法律事務所の経験
    当事務所は、境界問題に関する多くの事例に取り組んできました。幅広いケースに対応し、協議段階から裁判までサポートを提供いたします。

まとめ

  • 境界確認の法的根拠
    民法や不動産登記法により、土地の境界を明確化するための規定がある。
  • 基本手続き
    資料調査→隣地立会い→境界確認書作成→(必要に応じて地積更正登記)
  • 測量の重要性
    土地家屋調査士による実測と隣地所有者との協議が欠かせない。
  • 筆界特定制度や裁判
    合意できない場合にはこれらの制度を利用し、最終的に境界を公的に確定させる。
  • 弁護士と専門家の連携
    法律面と測量・登記面の連携が円滑化をもたらす。

境界問題は長期化しやすく、人間関係の悪化も招きがちです。重要なのは、早めに専門家へ相談し、客観的な根拠に基づいて合意形成を目指すこと。境界が不明確なまま放置しないように注意が必要です。


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この記事を書いた人

⻑瀬 佑志

⻑瀬 佑志

弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。約150社の企業と顧問契約を締結し、労務管理、債権管理、情報管理、会社管理等、企業法務案件を扱っている。著書『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)、『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践しているビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)ほか。

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