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隣地との境界紛争事例と対処法

はじめに

隣接する土地の境界があいまいなままだと、ちょっとした誤解が大きなトラブルに発展する可能性があります。塀の設置やフェンスの交換、庭木の剪定、建物の増改築など、様々なシーンで「境界ラインはどこか」が問題になるのです。本稿では、実際によく起こる境界紛争の事例を取り上げ、その対処法や注意点を解説します。長年仲の良かったご近所関係が、境界トラブルをきっかけに悪化することを避けるためにも、お早めの対応が重要です。

Q&A

Q1.隣地との境界紛争にはどんな事例が多いのですか?

代表的には以下のような事例があります。

  • 塀・フェンスの設置位置をめぐる争い:塀が少し相手方の敷地に食い込んでいる、あるいは境界線上に立てた塀の所有権が不明確など。
  • 越境建物・屋根のはみ出し:増改築や屋根の庇が隣地へ越境してしまう。
  • 樹木の枝や根の侵入:庭木が隣地にまで伸びてきて、日照や落ち葉の問題を引き起こす。
  • 敷地面積の誤差:分筆や地積更正登記をしていないため、公図面積と現地実測に大きな相違がある。
Q2.塀の真ん中にある境界線がわからなくなったらどうすればいいですか?

まずは測量士や土地家屋調査士に依頼して、塀の位置や境界杭を調査します。そのうえで隣地所有者と協議し、もし紛争が起きそうな場合は弁護士に相談して合意書を作成する流れが一般的です。筆界特定制度や民事調停を利用する場合もあります。

Q3.越境している建物や庭木を勝手に撤去していいのでしょうか?

原則として、自力救済は禁止とされており、相手の所有物を勝手に撤去したり切断したりすると違法行為となる可能性が高いです。まずは協議や通知を行い、応じない場合は法的手続き(調停や裁判)で撤去や損害賠償を求めることが正当なプロセスです。

Q4.境界のずれによって面積が足りなくなったら、損害賠償を請求できますか?

境界線が誤っており、相手方の敷地が実際より広く使用されていた場合、交渉で解決できればベストですが、合意が得られない場合は訴訟で境界確定を求め、越境部分の撤去や賃料相当額の請求を考えることもあります。ただし、立証責任や時効の問題など、法的ハードルがあり、事案によって結果は変わります。

Q5.話し合いで解決しないとき、最終的に何をすればいいのでしょうか?

まずは筆界特定制度を利用し、登記官に境界の特定を依頼する方法があります。それでも問題が解決しない場合、最終的には民事調停や裁判で境界線を確定させる判決を得ることになります。弁護士に相談すれば、紛争解決手段を見極めながら最適な手続きを選択できます。

解説

隣地との境界紛争事例

古い塀が実は隣の敷地内にあったケース

長年使っていたブロック塀を新調しようとしたところ、測量士が実測した結果、塀が境界線を超えて隣地に入っていると判明。隣人から塀の移動を求められたが、敷地が狭くなることを理由に対立。

屋根の庇やエアコン室外機が越境していたケース

戸建住宅の増改築で屋根を延長した際に、庇が隣の空間を侵害。隣人が通行や日照に影響すると抗議し、撤去費用をめぐって紛争に。屋根材の突き出し数センチでも問題になる場合がある。

庭木の枝が越境、落ち葉や日陰トラブル

大きく成長した樹木の枝が隣宅の敷地に侵入し、落ち葉が敷地内を汚す。隣人が枝の剪定を求めるも、所有者が渋ったため裁判に発展。結果、越境部分の剪定命令と損害賠償が認められた例もある。

境界紛争の対処法

話し合い・協議

紛争初期段階では、隣地所有者同士が測量図などを見ながら協議し、境界確認書を作成して問題を解決するのが理想的です。専門家(土地家屋調査士・弁護士)を交えることで合意形成がスムーズになる場合があります。

筆界特定制度

協議がまとまらない場合、法務局に対し筆界特定の申請を行い、登記官が客観資料を基に筆界を特定します。これは判決ではないため強制力はなく、双方が受け入れない場合は民事紛争に進む可能性があります。

調停・裁判

合意が得られず法的拘束力が必要なときは、民事調停や裁判で境界線を確定します。裁判で判決が出れば強制力があるため、相手が従わない場合でも強制執行が可能となります。

実務上の注意点

時効取得の主張

隣人が長期間にわたり越境部分を占有していた場合、民法上の取得時効(20年または10年)を主張されるケースがあります。長年放置していたがゆえに、境界線を動かせなくなることもあるため、早期発見と対応が大切です。

費用分担

境界確定や塀の移設費用などをどちらが負担するのかも紛争の一因となります。一般に、境界標や塀の設置費用は折半することが多いですが、紛争内容や地域慣行によって変わります。契約書や合意文書で明示するのが望ましいです。

将来のトラブル予防

新築や増改築の際、公的測量図の作成や境界確定書の締結をしておくことで、後日境界をめぐるトラブルを大幅に減らせます。費用はかかるものの、リスク回避の観点で重要な投資と言えるでしょう。

弁護士に相談するメリット

協議・交渉のスムーズ化

感情的になりがちな隣人同士のトラブルでも、弁護士が間に入って法的な観点から調整すれば、冷静かつ客観的な話し合いが進みやすくなります。

法的手続きの選択・代理

筆界特定制度や民事調停、裁判といった多様な手段から、最適な解決方法を提案できます。弁護士が代理人となることで、手続きの負担やリスクを軽減できます。

紛争解決後の文書化

合意に至った場合、境界確認書や合意書を弁護士が作成し、後日の争いを防ぎます。書面には法的に有効な条項を盛り込むため、不備が残らないように仕上げられます。

弁護士法人長瀬総合法律事務所の経験

当事務所は、境界をめぐる隣地紛争の事例を解決に導いてきました。土地家屋調査士や測量士との連携で測量・登記をサポートし、紛争の解決を図ります。

まとめ

  • 境界紛争は、塀やフェンス、建物の越境、樹木の侵入、敷地面積の誤差などで起きやすく、放置すると深刻化するリスクが高い。
  • 話し合いで解決できればベストだが、合意できない場合は筆界特定制度や調停・裁判に進む。
  • 越境物の勝手な撤去は違法行為となる恐れがあり、正当な手続きが必要。
  • 測量と境界確認書を作成しておけば、将来のトラブルを防げる可能性が高まる。
  • 弁護士や土地家屋調査士の専門家を活用し、早期に解決を目指すのが鍵。

隣地との境界は目に見えない線であるだけに、誤解や感情的対立が生じやすい分野です。問題が表面化する前に専門家へ相談し、正確な測量と法的根拠に基づいた交渉を行うことで、無用なトラブルを回避することができます。


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この記事を書いた人

⻑瀬 佑志

⻑瀬 佑志

弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。約150社の企業と顧問契約を締結し、労務管理、債権管理、情報管理、会社管理等、企業法務案件を扱っている。著書『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)、『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践しているビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)ほか。

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