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賃貸トラブルはまずどこへ?【入居者・大家別】相談先と解決へのガイド

はじめに

「退去時に高額なクリーニング代を請求された」(入居者)
「家賃を数ヶ月滞納している入居者と連絡がつかない」(大家)
「上の階からの水漏れで部屋が水浸しになったが、誰も責任を取ってくれない」(双方)

賃貸物件におけるトラブルは、生活の基盤である「住まい」に直結するため、当事者にとって非常に大きなストレスとなります。

しかし、いざトラブルが発生したとき、「どこに相談すればいいのか?」という最初のボタンを掛け違えてしまうケースが少なくありません。

賃貸トラブルの相談先は、あなたが「借りている側(入居者)」なのか、「貸している側(大家・オーナー)」なのかによって、適切な窓口が全く異なります。また、トラブルの内容(金銭問題、騒音、設備故障など)によっても、頼るべき専門機関は変わってきます。

間違った場所に相談しても、「それは管轄外です」「民事不介入です」とたらい回しにされ、解決までの時間が浪費されるだけです。

本記事では、入居者と大家さん、それぞれの立場に合わせた「正しい相談先の選び方」と「解決までのフロー」を解説します。ご自身の状況に当てはめて、最適な相談先を見つけてください。

賃貸トラブル相談に関するQ&A

Q1. 【入居者】退去費用に納得がいきません。サインをする前に相談したいのですが?

サインをしてはいけません。一度合意書にサインをしてしまうと、後から覆すのは困難になります。

納得できない請求書が届いた場合は、まずは消費生活センターや、自治体の住宅相談窓口に相談することをお勧めします。これらの窓口では、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に基づき、その請求が妥当かどうかの一般的なアドバイスをもらえます。

請求額が高額(数十万円〜)で、管理会社が高圧的な場合は、弁護士による交渉が必要です。

Q2. 【大家】入居者が家賃を払わず、夜逃げしたかもしれません。勝手に鍵を開けて荷物を処分してもいいですか?

ダメです。

たとえ滞納者であっても、入居者の許可なく部屋に入り、荷物を処分する行為は「自力救済の禁止」という法律の原則に反し、住居侵入罪や器物損壊罪、窃盗罪に問われる可能性があります。逆に損害賠償を請求されるリスクすらあります。

まずは連帯保証人に連絡し、それでも解決しない場合は、法的な手続き(建物明渡請求訴訟・強制執行)を経て、裁判所の許可を得て荷物を搬出する必要があります。お早めに弁護士に相談してください。

Q3. 管理会社がトラブルに対応してくれません。どこに苦情を言えばいいですか?

管理会社が宅地建物取引業者(宅建業者)である場合、その業者が所属している宅地建物取引業協会(宅建協会)や、都道府県の宅建指導担当課(建築指導課など)に相談することができます。

ただし、管理会社といっても「仲介業務」を行わず「管理業務のみ」を行っている会社の場合は宅建業法の対象外となることもあります。その場合は、消費者契約法に基づく対応や、契約不履行として弁護士を通じた請求を検討することになります。

解説:【入居者編】借りている人のための相談先ガイド

入居者が直面するトラブル(敷金返還、設備故障、騒音など)は、「立場の弱さ」につけ込まれるケースが多いのが特徴です。公的な窓口を味方につけましょう。

1 管理会社・大家(すべての出発点)

どんなトラブルでも、まずは契約書に記載されている「管理会社」または「貸主」へ連絡するのが基本です。

ポイント

電話だけで済ませず、必ず「いつ、誰に、何を伝えたか」を記録に残してください。メールや問い合わせフォームを使うのも有効です。修理依頼などは、写真も送付しましょう。

2 消費生活センター(局番なし188)

敷金精算や契約解除に関するトラブルの代表的な相談先です。

できること

専門の相談員が、契約内容やガイドラインに照らしてアドバイスをしてくれます。業者との間に立って「あっせん(話し合いの仲介)」をしてくれる場合もあります。

おすすめのケース

  • 退去時の原状回復費用が高すぎる。
  • 契約更新時に、不当な更新料を請求された。

3 都道府県・市区町村の「住宅相談窓口」

多くの自治体には、建築・住宅に関する専門の相談窓口が設置されています(例:東京都なら「東京都住宅政策本部 不動産相談」など)。

できること

不動産取引に詳しい相談員が、地域の実情に応じたアドバイスを提供します。

おすすめのケース

賃貸借契約の解釈について、中立的な意見を聞きたい場合。

4 弁護士

相手が悪質な管理会社で、話し合いが通じない場合や、被害額が大きい場合は、法律の専門家を頼ります。

できること

代理人として交渉し、不当な請求を断固拒否したり、敷金返還請求訴訟(少額訴訟含む)を起こしたりします。

おすすめのケース

  • 不当な理由で「今すぐ出ていけ」と言われている(立ち退き強要)。
  • 敷金が全く返ってこないどころか、高額な追加請求を受けた。

解説:【大家・オーナー編】貸している人のための相談先ガイド

大家さんが直面するトラブル(滞納、迷惑行為、用法違反など)は、対応を一歩間違えると「大家側が法律違反」問われるリスクが高いため、より慎重な判断が求められます。

1 管理会社(パートナー)

自主管理をしている大家さんもいますが、トラブル発生時はプロである管理会社の知恵を借りるのが近道です。

  • 役割: 入居者への連絡、現地確認、業者の手配など、実務の最前線を担います。
  • 注意点: 管理会社によっては、法的なトラブル対応(立ち退き交渉など)が苦手な場合や、非弁行為(弁護士法違反)になるため踏み込めない領域があります。

2 全国宅地建物取引業保証協会(ハトマーク・ウサギマーク)

不動産会社が加盟している業界団体です。無料の不動産相談所を開設しています。

  • できること: 賃貸経営に関する一般的な相談や、苦情対応のアドバイス。
  • おすすめのケース: 管理会社の対応に不満がある場合や、契約手続き上の不備について確認したい場合。

3 家賃保証会社

入居者が加入している保証会社です。

  • 役割: 家賃滞納が発生した際、入居者に代わって家賃を支払います(代位弁済)。
  • 重要: 多くの保証契約では「滞納発生から〇日以内に報告しないと免責(払わない)」という期限があります。滞納が起きたら、躊躇せず即座に連絡してください。また、最近の保証会社は、明け渡し訴訟の費用までカバーするプランを持っていることもあります。

4 警察署(#9110)

入居者の安否確認や、犯罪行為が疑われる場合です。

おすすめのケース

  • 郵便受けが溢れており、連絡がつかず、室内で倒れている(孤独死)可能性がある場合(安否確認の立ち会い依頼)。
  • 部屋がゴミ屋敷化し、異臭騒ぎになっている場合。
  • 入居者が暴れる、他の住人を脅すなどの刑事事件性がある場合。

5 弁護士(不動産トラブルに強い事務所)

大家さんにとって、弁護士は「資産を守るためのパートナー」です。

できること

  • 建物明渡請求: 内容証明郵便による契約解除通知から、訴訟、強制執行まで、入居者を適法に退去させる手続きを完遂します。
  • 滞納家賃回収: 資産調査を行い、給与や預金の差し押さえを行います。
  • 契約書チェック: トラブルを未然に防ぐための、有利な特約条項(定期借家契約など)の提案。

弁護士に相談するメリット(双方共通)

入居者にとっても大家さんにとっても、最終的にトラブルを解決に導くのは「法律」です。弁護士に相談することは、以下のようなメリットがあります。

感情論ではなく「法的根拠」で議論する

当事者同士の話し合いは、「約束を守れ」「誠意を見せろ」といった感情論になりがちで、解決しません。

弁護士は、「民法第〇条に基づき」「借地借家法の判例では」という客観的なルールを提示します。これにより、無理難題を言っている相手と法的に議論することが期待できます。

「代理人」として矢面に立ってもらえる

特に女性の入居者が強面の大家と交渉する場合や、大家がモンスター入居者と対峙する場合、直接のやり取りは精神的な恐怖を伴います。

弁護士に依頼すれば、連絡窓口は弁護士になります。相手からの電話に出る必要もなくなり、平穏な生活を取り戻せます。

最悪の事態(裁判・強制執行)を回避できることも

「弁護士が出てきた」という事実だけで、相手が事の重大さを認識し、態度を軟化させることがよくあります。

入居者であれば「裁判になれば負けて強制退去になる」、大家であれば「違法な取り立てで訴えられる」というリスクを相手に理解させ、裁判になる前に任意の話し合い(和解)で解決できる可能性が高まります。

相談先一覧表(まとめ)

迷ったときは、以下の表を参考にしてください(あくまでも一例になります)。

トとラブル内容 入居者の相談先 大家さんの相談先
敷金・原状回復 消費生活センター、自治体窓口 管理会社、弁護士
家賃滞納 (支払えない場合)法テラス、福祉協議会 保証会社、弁護士
騒音・迷惑行為 管理会社、警察(#9110) 管理会社、弁護士、警察
設備故障・修繕 管理会社、大家 リフォーム業者、管理会社
契約更新 消費生活センター、弁護士 管理会社、弁護士
立ち退き・明渡し 弁護士 弁護士
契約手続き不備 宅建協会、都道県庁 宅建協会、弁護士

まとめ

賃貸トラブルは、対応が遅れれば遅れるほど、関係が悪化し、金銭的な被害も拡大します。

入居者の方へ

「おかしいな」と思ったら、泣き寝入りせず、まずは消費生活センターなどの無料窓口で知識武装してください。それでも解決しない理不尽な要求には、弁護士が盾になります。

大家さんへ

賃貸経営は事業です。情に訴えても問題は解決しません。特に滞納や立ち退き問題は、法律というルールに則って淡々と処理することが、結果として損失を最小限に抑えます。

弁護士法人長瀬総合法律事務所は、茨城県内(牛久・水戸・日立・守谷)を中心に、入居者側・オーナー側双方からの不動産相談を多数承っております。

「この程度のことで弁護士に相談していいのか」と迷う必要はありません。トラブルの芽が小さいうちに、専門家のアドバイスを受けることが、安心への近道です。


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この記事を書いた人

⻑瀬 佑志

⻑瀬 佑志

弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。約150社の企業と顧問契約を締結し、労務管理、債権管理、情報管理、会社管理等、企業法務案件を扱っている。著書『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)、『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践しているビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)ほか。

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